声かけトマト
2007.07.26 Thu
こんにちは。総務部のサイトウです。
はじめてブログをします。
皆さんは、「声かけトマト」というのをご存知ですか?
中伊豆にある、あるトマト農家の方が生産するトマトのことなのですが、
ふつうじゃないんです。
つくりかた?というより育て方がかなりふつうじゃありません。
こどもに声をかけるように、話しかけながら育てるのです。
数年前にある実験をして、この育て方にたどり着いたそうです。
その実験とは・・・
広い畑で、同じ条件(日当たり、水、土壌の質、肥料などなど)でトマトを育てます。
ある列のトマトには、「ばかやろう!」などのネガティブな言葉を浴びせながら。
そして違う列のトマトには、「いい子だね、かわいいね」などの甘い言葉をかけます。
また違う列のトマトには、まったく声もかけない。つまり無視、です。
結果はというと、「ばかやろう!」といわれ続けたトマトたちは、
厳しい言葉に耐えることがやっとなのでしょうか。がちがちに硬くなり、
自分の殻で自分を守ることが精一杯。
無視されたトマトは、その存在さえも認めてもらず、自身をあきらめたかのように、
まったく赤くならず、緑色のままだそうです。
想像通りですが、この二通りの育てられ方のトマトは、食すことは難しいです。
それでは、甘く優しい言葉をいっぱいに受けたトマトはというと・・・
それはそれは甘さが際立った風味のトマトに実ったということです。もちろん真っ赤に。
ここまではちょっといい話なのですが、これからが奥が深くなります。
甘いトマトは、食べやすくておいしいし、とても魅力的なのですが、
作った農家の人がとても疑問に思ったそうです。
トマトってこんな味だったっけ?すごくおいしいけど、何かが足りない気がする。
ものすごく悩んだ末に、気がついたこと。
それは、「トマトが本来持つ酸味」が足りない!
それから本来トマトが持つ魅力を引き出すためのお手伝いとして、
農家の方はこんな声かけに変えたそうです。
「思ったように、なりたいように育ってごらん!」
すると、酸味と甘み、このバランスがとれたトマトが実るようになったそうです。
子育てしてて、わかってはいるけど、おおらかに子どもを受けいれられないとき、
私は必ず思い出すようにしている話のひとつです。